〜パンデミックによって生じた新たな課題と、応用行動分析(ABA)の需要の高まり
こんにちは!本日もおつかれさまです。
自閉症、自閉症スペクトラムと診断される方々は、年々増加しています。
今回は、自閉症の聴覚過敏の問題と、対処する作業療法士のエミリー、広く自閉症の子どもたちのサポートをしているダイアンのケースについて報告します。
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【自閉症と聴覚過敏】
感覚には、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つがありますが、自閉症の方々の多くは、聴覚で受け取る音の情報処理に困難を抱えています。
「診断では、騒音によって耳が痛くなったり、脳が爆発しそうな気分になったり、不安が募って抑えることができなくなったりするなどと聞くことがあります。」と、作業療法の修士号を持つ医師であるエミリー・マーレーは、述べています。
自閉症は、人によって症状は様々ですが、音に対する過敏症に関しては、一般的に経験されています。
エミリーはまた、聴覚過敏の場合、ノイズキャンセリングのヘッドフォンを選ぶ可能性についても、ヘッドフォンは音を遮断しすぎるため、人の話を聞くのが難しくなると言います。
音を避けたい場合には、ノイズの生じない静かな環境で作業することができます。例えば、両親がキッチンで料理していたり、兄弟がリビングルームでテレビを見ている時には、静かなベッドルームやダイニングルームのテーブルで、宿題や仕事をすることは可能です。
また、この度、パンデミックが起きたことで、エミリーのような作業療法士は、新たな課題に直面しています。
「聴覚の処理に問題のある子どもたちにとって、マスクをすると表情が見えなくなるため、何を言っているのかを判断するための手がかりが排除されてしまいます。私たちの仕事は、関わっている多くの子どもたちの、パンデミックに起因するストレス増加のケアへとシフトしています。」
【自閉症と応用行動分析(ABA)】
応用行動分析(ABA)と、それが自閉症の人々をどのように助けることができるかについて、さらに学ぶために、私たちは、バーガーラーニンググループのディレクターである、マサチューセッツ州の行動分析士のダイアン・バーガーと話をしました。
ここで、応用行動分析とは、どのようなものなのでしょうか。(以下は、スタジオそらHPより抜粋)
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ABA(応用行動分析)の考え方
行動に着目する行動分析を、子どもの支援に活かす考え方としてABA(応用行動分析)というものがあります。ABAでは、<子どもの行動>だけではなく、行動の<きっかけ>と<結果>に注目することで、子どもに対する理解を深めていきます。
たとえば、「ちょっと手伝って」と声をかけられたときに、「お手伝いをする」と、「ありがとうと言われた」というような、「どんなときに、何をしたら、どうなった」の関係性を図示したものが以下になります。
行動には、必ず何かしらのきっかけがあります。たとえば「お母さんが料理をしているのを見つける」「洗濯が終わったことに気づく」など、子どもが自発的に行動する際にも、きっかけは存在します。そして子どもが行動を起こし、その結果として自分にとっていいことが生じると、その行動をまたするようになると考えられています。
つまり、行動を維持するためには、何かしらのいいことが起こることが必要だという考え方です。このいいことは、人によってさまざまなので、何が行動の維持に影響しているのか、見極めることが大切です。
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ダイアンの娘は、2歳のときに自閉症と診断されました。医師は、応用行動分析(ABA)を推奨しました。目標は、より役に立つ行動を増やし、やりがいのある行動をマネジメントすることです。このアプローチにより、対象者に固有のニーズに対し、カスタマイズされたプログラムを実行することが可能になります。
セラピストは重要ですが、セラピストと一緒にいない時に、クライアントとともに時間を過ごす教師や介護者、両親などの存在もまた非常に重要です。ダイアンは、娘のプログラムにおいて、自分が積極的な役割を果たす必要があることを理解し、コロンビア大学のティーチャーズカレッジで、行動障害、応用行動分析の大学院の学位を取得することにしました。
そして、特別支援を必要とする子どもたちを育て、指導したいというユニークな視点から、2009年にバーガーラーニングセンターを設立しました。ダイアンと、高度な訓練を受けたABAインストラクターのチームは、個別のプログラミングを提供することによって、ニューヨーク、ニュージャージー大都市圏に、優れたサービスを提供しています。
それぞれの子どもたちの特定のニーズを満たし、成長をサポートするために、必要なトレーニングとリソースをもって、本人のみならず家族をも支援するものです。センターベースのプログラムは、生後18か月から18歳までの子どもたちに、様々なABAサービスを提供しています。
【増加する自閉症スペクトラム〜理解と雇用の重要性】
2020年、アメリカのCDC(疾病対策センター)は、米国の54人に1人の子供が、自閉症スペクトラムと診断されたと報告しました。1999年に、ダイアンの娘が同様の診断を受けて以来、この統計だけでも大幅な増加を示しています。自閉症は、最も急速に増加している発達障害ですが、依然資金不足のままです。
4月2日は、世界自閉症啓発デーでしたので、それを記念して、ダイアンとエミリーは、私たちにどのような支援ができるかについて話し合いました。今では、多くの人たちが、自閉症の影響を受けている人を少なからず知っています。そして、診断の継続的な増加によって、そのことはさらに確実となりつつあります。
自閉症スペクトラムの認識と理解は、重要度を増しています。 「自閉症の診断は、彼らが課題を抱えている可能性のある領域(言語、社会的相互作用、感覚処理など)について教えてくれます。」とエミリーは言います。 「感覚処理と同様に、自閉症スペクトラムは広域なスペクトルであり、2人いたとして、同じ状況を提示することはありません。最初にその人を見た時に、彼らがユニークな個人として、どのような個性を持っているのか、見つけることが重要です。」
雇用は、自閉症の方々のコミュニティをサポートするために、大幅な改善が必要なもう1つの分野です。仕事を見つけることを専門とする機関がありますが、ダイアンは、自閉症の人を雇うことについては、まだ矛盾と誤解があると言います。 「彼らは有能です。多くの人たちは、彼らが個々に持っている強みを評価する機会を必要としています。」
私たちは皆、自閉症を含む自閉症スペクトラムへの意識を高めるという役割を認める必要があります。グローバルに大きな影響を与えるための小さな一歩ですが、それぞれが意識するという貢献によって、ともに変化を生み出すことができるでしょう。
以上です。
自閉症の方々の多くが聴覚過敏を経験しているということ、私たちも個々で自閉症や自閉症スペクトラムへの理解を深め、意識を高める必要があるということがわかりました。
ぜひ積極的にサポートしていきたいですね!
それではまた!